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EC事業を始めると、経理の手間は確実に増える
経済産業省の「電子商取引に関する市場調査(令和6年度)」によると、日本のBtoC-EC市場規模は2023年時点で約24.8兆円に達し、前年比で9.23%成長しています(出典:経済産業省 電子商取引に関する市場調査)。
滋賀県内でも、製造業や食品加工業が自社製品の直販サイトを立ち上げたり、小売店がBASEやShopifyで通販を始めたりするケースが増えています。県内の中小企業数は約32,000社(令和3年経済センサス)で、そのうちEC販売に乗り出す事業者は年々増加傾向にあります。
ただし、EC事業には店舗販売にはなかった経理上の論点がいくつも出てきます。「売上の計上タイミングがわからない」「入金額と売上額が合わない」「ポイント値引きの仕訳がわからない」。こうした声は、EC事業を始めたばかりの事業者に共通しています。
実際にGrowUpでも、EC事業を始めた中小企業のお客様から「入金タイミングや控除項目が複雑で、どう処理すればいいかわからない」という相談を受けることが多くあります。
EC経理が複雑になる3つの理由
1. 売上の計上タイミングが店舗販売と違う
店舗販売であれば、レジで代金を受け取った時点が売上です。一方、EC販売では「注文を受けたとき」「商品を出荷したとき」「購入者に届いたとき」「代金が入金されたとき」の4つの時点が存在し、どの時点で売上を計上するか決める必要があります。
会計上は「出荷基準」(商品を発送した日に売上計上)が一般的です。ただし、Amazonや楽天市場などのモールでは売上レポートの日付が「注文日」になっている場合があり、会計ソフトへの入力時にズレが生じやすい。月末をまたぐ取引では、計上月が1か月ずれてしまうケースもあるため注意が必要です。
2. プラットフォーム手数料を正しく処理する必要がある
Amazonや楽天市場で販売する場合、売上代金からモールの販売手数料・決済手数料が差し引かれた金額が口座に入金されます。たとえば10,000円の商品を売って、手数料1,500円が引かれ、8,500円が振り込まれるという形です。
ここで多くの事業者がやってしまうのが、「入金された8,500円を売上として計上する」という処理です。しかし、これは誤りです。売上は10,000円で計上し、手数料1,500円は「支払手数料」として別に費用計上するのが正しい会計処理です(総額計上)。
差し引き後の金額で記帳する「純額計上」は、消費税の計算にも影響します。課税売上が実態より小さく見えるため、消費税の申告額が過少になるリスクがあります。インボイス制度のもとでは仕入税額控除にも関係するため、なおさら正確な処理が求められます。インボイス制度の実務対応については、「インボイス経過措置が2026年10月に変わる|控除率引き下げ前に滋賀の中小企業がやるべきこと」で詳しく解説しています。
なお、Shopifyの手数料はカナダ法人への支払いとなるため、国外取引として消費税の課税仕入れ(リバースチャージ方式)に該当する場合があります。利用するプラットフォームによって処理が異なる点も、EC経理を難しくしている要因です。
3. ポイント値引き・クーポン・送料の仕訳が煩雑
ECモールでは、ポイント利用やクーポン値引きが頻繁に発生します。これらの処理方法は主に2通りあります。
パターンA:売上値引きとして処理する方法10,000円の商品を500ポイント利用で購入された場合、売上9,500円として計上する。
パターンB:販売促進費として処理する方法売上は10,000円のまま計上し、ポイント分の500円を「販売促進費」として費用計上する。
どちらの方法を選ぶかは事業者の判断ですが、一度決めたら継続して同じ処理を適用する必要があります(継続性の原則)。楽天市場のスーパーSALEやAmazonのタイムセール期間中はポイント付与率が上がり、仕訳の件数が一気に増えるため、処理ルールを決めておかないと月末に収拾がつかなくなります。
送料についても、「購入者負担」「出品者負担」「一定金額以上で送料無料」といったパターンごとに仕訳が変わります。出品者負担の送料は「荷造運賃」として経費計上しますが、購入者から送料を預かって運送会社に支払う場合は「預り金」を経由する処理が必要になることもあります。
月次の経理作業が膨れ上がる
店舗販売だけの時期と比べて、EC販売を始めると以下のような作業が追加されます。
- 各モールの売上レポートをダウンロードして会計ソフトに取り込む
- 入金額と売上額の差額(手数料)を毎月照合する
- ポイント・クーポン利用分を個別に仕訳する
- 返品・キャンセル処理(売上の取り消しと返金の記帳)
- 複数モール+自社ECサイトの売上を合算する
Amazonと楽天市場と自社サイトの3チャネルで販売している場合、売上レポートのフォーマットも手数料体系も異なります。これを毎月手作業で処理するには、相応の時間と経理知識が必要です。
EC事業は経理の作業時間が多くなりがちで、経理代行に委託することで本業に割ける時間を確保できたとお客様から好評をいただいています。
経理代行を使えば、EC特有の処理もまとめて任せられる
EC販売の経理を自分でやりきるのが難しいと感じたら、経理代行に任せるのも選択肢です。経理代行サービスでは、以下のような対応が可能です。
モール別の売上取り込みと仕訳Amazon・楽天市場・Shopify・BASEなど、各プラットフォームの売上レポートをダウンロードし、会計ソフトに正しい勘定科目で仕訳を入力します。
手数料・ポイントの会計処理ルールの整備初回に処理ルール(総額計上、ポイントの処理方法など)を決め、以降は毎月同じルールで一貫した記帳を行います。事業者側で判断に迷うことがなくなります。
消費税の正確な区分処理国内取引と国外取引(Shopify手数料など)の区分、課税売上の正確な把握は、消費税の申告に直結します。freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトと連携すれば、仕訳データの受け渡しもスムーズです。会計ソフトの選び方に迷っている方は、「【創業者必見】会計ソフトで悩んだらアウトソーシングも選択肢」も参考にしてください。
月次試算表の早期化経理処理が溜まると、月次の数字が出るのが遅れ、経営判断のタイミングを逃します。経理代行に出すことで、毎月の試算表が安定して早く出るようになり、EC事業の利益構造を把握しやすくなります。
freee認定アドバイザーだからできるEC経理の効率化
税理士法人GrowUpはfreee認定アドバイザーの資格を持っています。freeeにはAmazonや楽天市場との連携機能があり、売上データの自動取り込みが可能です。ただし、自動で取り込んだデータがそのまま正しい仕訳になるとは限りません。手数料の区分やポイント処理は、ルール設定と人の目によるチェックが必要です。
GrowUpでは、freeeの初期設定(勘定科目の設定、自動仕訳ルールの作成)から月次の記帳代行、試算表の作成までを一貫して対応しています。EC販売を始めたことで経理の手間が増えたと感じている方は、まず現状の経理フローを整理するところからお手伝いできます。経理DX全般の進め方については「中小企業の経理DXはfreeeとAI活用が鍵|滋賀の税理士が進め方を解説」もあわせてご覧ください。
電子帳簿保存法への対応もEC事業者にとっては重要な課題です。ECモールから届く請求書や支払明細は電子データにあたるため、電子保存の要件を満たす形で管理する必要があります。詳しくは「電子帳簿保存法に対応できていますか?経理代行に任せるメリットと注意点」をご覧ください。
freeeの自動連携機能はEC事業との相性がよく、GrowUpではEC販売を行う事業者への導入を積極的に進めています。
まとめ
EC・ネットショップを始めると、売上計上のタイミング、プラットフォーム手数料の総額処理、ポイント値引きの仕訳という3つの論点が新たに加わります。複数モールで販売する場合は、レポートの照合作業も含めて月次の経理作業量は大幅に増えます。
処理ルールを決めずに場当たり的に記帳していると、消費税の申告や決算で問題が出る可能性があります。EC経理に不安がある場合は、早い段階でプロに相談し、正しい処理ルールを整えておくことが大切です。