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経理のクラウド化を「コスト」で諦めていませんか
「クラウド会計に切り替えたいけど、導入費用がかかるから後回しにしている」。滋賀県の中小企業の経営者から、こうした相談を受けることが増えています。
2026年の調査によると、中小企業のDX導入率は全国で43%にとどまり、成功率はわずか21%です(出典:gron.co.jp 中小企業DX実態調査2026)。従業員50名未満の企業ではさらに低く、「関心はあるが手を付けられていない」のが実態です。
ただ、2026年度から始まった「デジタル化・AI導入補助金」を使えば、クラウド会計ソフトやPC・タブレットの導入費用を大幅に抑えられます。この記事では、経理業務のクラウド化に使える補助金の仕組みと申請手順を具体的に説明します。
実際にGrowUpのクライアントでも、コストが理由でクラウド化を見送っていた企業が補助金を活用して導入に踏み切った例があります。
「デジタル化・AI導入補助金」とは何か
2025年まで「IT導入補助金」と呼ばれていた制度が、2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」に名称変更されました。運営は中小企業庁で、中小機構が事務局を担当しています。
制度の目的は変わりません。中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際の費用を補助し、業務効率化やDXを後押しするものです。名称変更に伴い、AI活用への支援が強化されています。
経理ソフトに使えるのは「インボイス枠」と「通常枠」
この補助金にはいくつかの申請枠がありますが、経理ソフトの導入で使えるのは主に次の2つです。
インボイス枠(インボイス対応類型) は、インボイス制度に対応した会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフトの導入を対象とする枠です。freee会計やマネーフォワード クラウド会計、弥生会計オンラインなど主要なクラウド会計ソフトが対象ツールに登録されています。PC・タブレット・レジなどのハードウェアも補助対象に含まれるのが特徴です。
通常枠 は、より幅広いITツールの導入を対象とする枠です。業務プロセスの数に応じて補助額が変わります。会計ソフトだけでなく、勤怠管理や給与計算ソフトも組み合わせて申請できます。
補助額と補助率の具体的な数字
インボイス枠の場合
| 補助額の範囲 | 補助率 |
|---|---|
| 50万円以下の部分 | 3/4(小規模事業者は4/5) |
| 50万円超の部分 | 2/3 |
たとえば、freee会計の年間利用料(約5万円)+導入サポート費(約10万円)+PC1台(約10万円)=合計25万円で申請した場合、50万円以下なので補助率3/4が適用されます。自己負担は約6.3万円で済む計算です。小規模事業者(従業員5人以下)なら補助率4/5で、自己負担は約5万円まで下がります。
通常枠の場合
| 業務プロセス数 | 補助額 | 補助率 |
|---|---|---|
| 1〜3プロセス | 5万円〜150万円 | 1/2(最低賃金近傍の事業者は2/3) |
| 4プロセス以上 | 150万円〜450万円 | 1/2(最低賃金近傍の事業者は2/3) |
会計ソフトだけなら1プロセスですが、給与計算・勤怠管理・請求書発行なども一括導入する場合は複数プロセスとしてまとめて申請できます。経理業務全体をクラウド化する場合に適しています。
対象になるクラウド会計ソフトの例
補助金の対象ツールは事務局に登録されたものに限られます。経理関連の主要なクラウドソフトはほぼ登録済みです。
会計ソフト
- freee会計:自動仕訳・銀行口座連携が強み。個人事業主から中小企業まで幅広く対応
- マネーフォワード クラウド会計:金融機関連携が豊富。給与・勤怠・経費精算など周辺サービスとの一体運用が可能
- 弥生会計オンライン:弥生シリーズからの移行がスムーズ。操作画面がシンプルで経理初心者にも使いやすい
会計以外に組み合わせて申請できるツール
- 請求書発行ソフト(freee請求書、マネーフォワード クラウド請求書など)
- 給与計算ソフト(freee人事労務、マネーフォワード クラウド給与など)
- 勤怠管理ソフト(KING OF TIMEなど)
- 経費精算ソフト
会計ソフト単体よりも、関連する業務ソフトをまとめて申請するほうが補助額の枠を有効に活用できます。GrowUpではfreee認定アドバイザーとして、freee会計の導入サポートを日常的に行っています。どのツールの組み合わせが自社に合うかは、経理代行サービスの内容ページも参考にしてください。
GrowUpが支援した製造業A社では、freee会計とfreee人事労務をセットで導入した結果、給与計算にかかる時間が10時間単位で圧縮されました。会計ソフトと給与計算ソフトを連携させることで、手作業の転記がなくなったのが大きな要因です。
申請の流れと2026年度のスケジュール
申請から補助金受給までの流れ
- gBizIDプライムを取得する(申請に必須のアカウント。取得に2〜3週間かかるため早めに準備する)
- IT導入支援事業者を選定する(補助金申請はITベンダー等の「IT導入支援事業者」と共同で行う。会計ソフトの販売代理店や導入サポート事業者が該当する)
- 導入するITツールを決定する(事務局に登録済みのツールから選ぶ)
- 交付申請を行う(IT導入支援事業者と共同で、補助金の申請システムから電子申請する)
- 交付決定を受ける(審査を経て採択通知が届く)
- ITツールを導入する(交付決定の後に契約・導入する。決定前に契約すると補助対象外になるので注意)
- 事業実績報告を行う(導入完了後に実績を報告する)
- 補助金が振り込まれる
2026年度の申請スケジュール
中小企業庁は2026年2月27日に公募要領を公開しました。申請受付期間は2026年3月31日〜5月12日となっています(出典:中小企業庁 公募要領公開)。
申請期限が迫っています。gBizIDの取得やIT導入支援事業者の選定には数週間かかるため、導入を検討している場合は今すぐ準備を始める必要があります。
申請前に押さえておきたい3つの注意点
交付決定の前にソフトを契約してはいけない
補助金の申請でもっとも多い失敗が「交付決定前の契約」です。先にソフトの契約や支払いを済ませてしまうと、その費用は補助対象外になります。必ず交付決定の通知を受けてから契約してください。
申請にはIT導入支援事業者の協力が必要
補助金の申請は、事業者単独ではできません。対象ツールを取り扱う「IT導入支援事業者」と共同で申請する仕組みです。freeeやマネーフォワードの場合、各社が認定するパートナー企業が支援事業者として登録されています。
クラウド利用料の補助期铓には上限がある
クラウドソフトの月額・年額利用料も補助対象ですが、補助期铓には上限があります(最大2年分)。3年目以降の利用料は自己負担になるため、長期的なコストも含めてツールを選定してください。
経理代行と補助金、どちらを選ぶべきか
クラウド会計ソフトを導入しても、「入力する人がいない」「仕訳の判断ができない」という課題が残るケースは少なくありません。ソフトは道具であり、使いこなすには会計の知識と日々の運用が必要です。
自社に経理担当者がいる場合は、補助金を活用してクラウド会計ソフトを導入し、担当者の業務効率を上げるのが合理的です。一方、経理担当者がいない、または兼任で手が回っていない場合は、経理代行サービスの活用も選択肢に入ります。
経理代行と補助金は二者択一ではありません。たとえば、クラウド会計ソフトは補助金で導入し、日々の記帳や月次チェックは経理代行に任せるという組み合わせも有効です。フリーランス・個人事業主が経理を外注するタイミングと費用の目安の記事では、外注の判断基準を詳しく解説しています。
実際に、補助金でクラウド会計ソフトを導入したものの、会社の実態と合わず運用が追いつかなかった結果、GrowUpに経理代行を依頼するケースもあります。ソフトを導入するだけでなく、自社の業務に合った運用体制を整えることが重要です。
まとめ
デジタル化・AI導入補助金2026を活用すれば、freee会計やマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトを最大4/5の補助率で導入できます。2026年度の申請受付は3月31日に始まっており、締切は5月12日です。gBizIDの取得には2〜3週間かかるため、検討中の方は早めに動き始めてください。
ソフトの選定や、経理DXの進め方と合わせて、自社に合った経理体制を整えるのに良いタイミングです。